ヒューマンアカデミー秋葉原校・漫画講師レポート

先日、ヒューマンアカデミー秋葉原校にて、1日漫画講師をしてきました。
今回はその様子をレポートします。

7月6日、ヒューマンアカデミー秋葉原校にて、1日漫画講師をしてきました。
なぜかこれまで、日本文化を学びに来た留学生に漫画の授業をするという経験は何度かありましたが、今回のように漫画を志す若者には初めての経験です。
わずか3時間の授業で、タメになる事が言えるかどうか…。不安と緊張でいっぱいです。

秋葉原校での授業風景です。
実は今回はヒューマンアカデミーさんの、全国の教室にネットワークを繋いで、同時に授業を行うという試みでした。
南は沖縄、北は札幌まで14校が僕の授業を聞いてくれました。

授業はおおまかに3時限に分けました。
1限目は漫画トーク、まずは自己紹介からです。
僕は漫画家になりたくて上京して、すぐになれないと思って先にゲーム業界に就職したという、無難で手堅いデビューを果たした経歴を持っているので、堅実で夢を見すぎない話をしました。
でも同時に、戦略性をもってデビューするための策を伝えたつもりです。

2時限目は『BTOOOM!』で編み出した、素材を使って紙面を構成する技術の実演です。
数百ほどある岩や植物の素材絵を、空間を意識しながら並べていき、森の中の獣道を作っています。

この技法を使えば、簡単な森は1時間程で完成させられます。
当日はこの素材を生徒の皆さんにプレゼントしてきました。
「著作権は主張しないのでみんなで使って~!」と大盤振る舞いしてきました。
「コピーしてもOK!」と言っておいたので、そのうちこの素材を使いこなす新人が現れるかも…。
それはそれで嬉しい!

3時限目はキャラクターメイキングの授業。
言わずもがなですが、漫画はキャラクターが重要です。
今回の授業では短い時間でヘタに絵のアドバイスをしても役に立たないと思って、キャラを作る楽しみだけでも体験してもらおうと思ってこの授業を企画しました。
まずは1分くらいで、何でもいいから簡単なキャラクターを作ります。
そのあとでキャラのエピソードを作っていきます。
ただこれは自分でじっくり考えるのではなく、僕が質問してその場で答えるというルールです。
まずはお手本に僕が即興でキャラをつくりました。
一見悲壮感漂うサラリーマンが実は尊敬されながらも、痴漢の常習犯といった風に、意外性を極端に意識したキャラクターを作りました。

次は生徒さんの番です。
秋葉原校だけでなく全国の教室からも参加してもらいました。
ここでの注意点は絵は「らくがきでいい」という点です。
重要なのは周りの人の反応を見ながら考える事。
みんなに即興で描いてもらって、僕が質問をぶつけます。
「名前は?」「どこに住んでるの?」
最初はありきたりな質問を…。
でも生徒さんが答えた内容をどんどん堀り下げて質問を重ねます。
「何食べるの?」「野望とかある?」「牙がつるどいけど肉食なの?」
すると最初は落書きに見えたキャラクターも、いろんなエピソードを積み重ね、生き生きしたキャラクターに見えてくるのです。
「これがキャラに命を吹き込むという行為です!」

生徒さんも多様で、メルヘンなもの闇が強いもの、楽しいものやらケレン味たっぷりなもの…。
十人十色のキャラがどんどん生まれてきます。
とんでもない答えを返す人もいて、全国の教室が爆笑に包まれます。

この授業を思いついたのは、小学校の恩師の言葉です。
僕が小4の頃、図工の時間にその先生は「好きなもの何描いてもいい!」と言ったのです。本来なら花瓶やら風景やら友達の顔などを描くのが定番なのに、そんな型破りな事を言ったのです。僕は当時大流行だったガンダムを描きました。友達もミッキーやらドラえもんやら、好きなものを思い思いに書きました。「細かいところが分からないから資料持ってきていい?」と聞いたら「漫画でも何でも持ってきて描けばいい。」と言うのです。
クラス中が熱くなりました。みんな思い思いに好きなものを熱心に描いたのです。卒業後久しぶりに会った先生に、なんであんな授業をしたのか聞いてみました。すると「私は絵が下手で何も教えられない。でも絵を描く楽しさなら教えられると思った。」というのです。確かにメチャメチャ楽しかったのです。
そこで、「少ない時間で漫画の技術は教えられない、でも漫画を描く楽しさだったら教えられる!」と思ったのです。
漫画を描くのは画力が必要と思われがちですが、実は絵を使って人を楽しませる事が最も大事なのです。
今回その事だけでも伝わってくれたら僕は満足です。

みんな、楽しんでもらえたかな…?

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